デカくても見えないものはある話
たとえば日本地図を広げて
「今から言う文字がどこに書いてあるか、探し出してください」
というクイズをしたとします。
こういう時、小さな町の名前とか、細かい文字で書いてあるものは、結構見つかるものなのですね。
「探せ」と言われると、人間は自然に見つけにくそうな場所を集中して探そうとしてしまうものなのかもしれません。
この場合、むしろなかなか見つからないものは何でしょうか?
答えは、
大きめの文字で、でかでかと並んでいる単語
の方です。
きちんと場所を認識していれば、すぐにわかることですが、たとえば「奥羽山脈」というような種類の文字、広い範囲にわたって、ド〜ンと書いてあるはずなのに見つからなかったりするわけですよ。
それにしても限度はありまして、普通に生活していれば大きいものを見落とすことはないだろう・・・私はずっと、そう思ってきました。
見落とすんです
去年、探し物があって、アニメイト名古屋店に行きました。
平日の真昼間です。さすがに、その時間帯にはお客さんまばらです。
何度も繰り返し出かけていくお店の場合、特に気に留めていなくても、店の中での自分の移動経路というものができるものです。
この日も、たのまれた物の他に、何かいい物ないかなぁ・・・と棚をみながら、のほほんと歩いておりました。
すると、突然背後から聞き覚えのある声がしたのです。
「
ねぇ、僕といっしょに写真を撮ろうよ
」
へっ?! 声優の釘宮理恵さん?
ひょいと振り返ったら、そこにあったのは
等身大 アルフォンス君 フィギュア
いや、あれをフィギュアと言ってしまっていいんでしょうか?
荒川弘原作「鋼の錬金術師」に登場するキャラクター「アルフォンス・エルリック」君の鎧そのものがド〜ン!!と突っ立っていたのです。
設定をご存知ですか?
身長2m20cm
あるんです。
めちゃくちゃ でかいです。
原作の中で、兄貴であるエドワード君が、ことあるごとに小柄であることを気にしまくって
「ちいさいって言うなぁぁ〜〜っ!!」
と、ギャグシーンをかましていますが、
ハッキリ言って、隣にあんなでっかい物が立っていたら、たいていの場合、
自分は「ちいさい」
です
。
たぶん、私が赤外線探知にひっかかって録音されたテープが動いたのでしょう。
うおぉっ!
うわさには聞いていましたが、アル君、会えてうれしいよォ。
ここで、はたと気づくわけです。
いくら探し物をしながら歩いていたとはいうものの、
なんで私はこんなに「でかい物体」に気づきもしないで通り過ぎようとしたのであろうか?!
場所もね、出入り口の位置から考えたら、目立ってあたりまえのところに設置されていたんですよ。でも、テープの声がするまで、まったく気づきませんでした。
私の目、いったいどこを見ていたんでしょうねぇ。
もちろん、年甲斐もなくキャーキャーよろこんでしまって、写真を写してきました。
本体にさわりさえしなければ撮影OKだったんです。
でも、これ以後、私は自分の目を信じていません。
ええ、
2m20cmの鎧が見落とせる目
ですから。
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