原作を生かす努力 (スレイヤーズ・シリーズ)


スレイヤーズ:神坂一 作の小説。
ドラゴンもまたいで通る・・とで言われる少々問題有り・天才魔法使いリナ・インバースを主役とする、剣と魔法の世界の冒険コメディ。
「長編」および「すぺしゃる」で、計40冊(2005年10月現在)の文庫本が出ている人気作品です。
コミックス、TVアニメ、映画にもなっていますので、そちらでご存知の方も多いかな?

これをベースにしたTVゲームがあります。

原作付ゲームを作ってヒットさせることは、かなりむずかしいことのようですね。

原作を見てファンになったから、ゲームもやってみようとする人の中には、普段あまりゲームをしていない人がいっぱいいます。
まず、そういった初心者タイプにも親切なゲームでなければいけません。
もちろん、ゲームが好きで、たくさんプレイしている人が好きになってくれるゲームでなければなりません。
原作ファンは原作へのこだわりを持っていることが多いので、できるだけ原作の特徴を活かさなければなりません。

適当に原作の登場人物を使用して、ありきたりのゲームっぽいものを作り、題名だけ「○○○○○」とつけたところで、原作ファンもゲームファンもついてきてはくれないわけです。
(残念ながら、過去にはそういう不本意なゲームが多数あったのも事実です)

スレイヤーズの場合はRPGになりました。
案外、格闘ゲームなんかに挑戦しても面白いものができたかもしれないと思うのですが、原作のファン層を考慮してRPGということになったのでしょう。

スレイヤーズのRPGが発売される。
この話を聞いた時、私はちょっと首をひねりました。
どんなバトルになるんだろう?
(物語については、あまり気にしなかったんです。もう、コミカル色豊かな冒険譚ならOKって感じでしたから)

まず、当時のゲームの常識として「戦士」の行動は遅いと決まっていました。
剣を振るって、敵単体に大きなダメージを与えることが役割となる「戦士」型ユニットは、重装備になる場合が多いため、強くて防御力が高いが、スピードは遅くなりがちだったのです。
(逆に武器類と防具の装備が少なく、防御には欠けるがスピードと力にすぐれているのは体術を使用するユニット。空手家とか武闘家といわれるものだったのです)

この原作に登場する「戦士」というか剣士はガウリィ君。長髪美形、剣の腕は超一流。天が2物まで与えた好男子ですが、さすがに3つめは与えてくれなかったらしくて、バトル以外ではいろいろ問題がある人物だったりします。
(いい人なんだけれどねぇ、まわりのせいで苦労するんだよな、あれは)
彼をゲームからはずすわけにはいきません。
この男がバトルとなると、やたらにすばやい。
おそらくバトル・スタートと同時に切り込んで、真っ先に敵に第一激を加えることになる・・・というお方。
ターンの最初に戦士が切りかかるゲームって・・・どうよ?!

うわぁ・・・思い切り 変っ!!

まぁ、これは、ゲームをやらない原作ファンは、きっと「変」と思わないだろうから、そのまんまでいくんだろうなぁと思いました。
いっちゃってましたね。笑

しかし、もう1つの問題は、まずいです。
原作に登場する人物達は旅を続けていくうちに、だんだん強くなっていくタイプではなかったのです。
つまり、最初からレベル100状態
このままでは、RPGゲームが成立しません。

たとえば、主人公のリナさんは、ドラグスレイブと呼ばれる広範囲大ダメージ超必殺技的黒魔法の達人です。
これが彼女の「売り」なんです。
でも、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーにたとえるなら、ゲームが始まったとたんに、イオナズンが炸裂し、バハムートがメガフレアをぶっぱなすような話になります。
どんなゲームだって、めちゃくちゃですね。

彼女だけではありません。
そういうレベル100クラスがゾロゾロ歩き回っているのがスレイヤーズのお話なのです。
では、どうするか?

2つの方法がありました。

1つは、味方パーティがなんらかの理由でゲームの初期にはレベル1状態になってしまう状況を作ってしまうこと。
ストーリィによって解決したわけです。
これが「スレイヤーズ わんだほ〜」です。

もう1つの方法。
最初からドラグスレイブOKのマップを作ってそのマップ上でバトルをやらせてしまう方法。
つまり、でっかい魔法を使うのは勝手だけれど、もし魔法のターゲット範囲に味方がいたら、その味方をもふっとばしてしまう設定にするわけです。
別のゲームを例に上げれば魔法が「スーパーロボット大戦シリーズ」のマップ兵器扱いになっているということです。
敵・味方がいりみだれると、広範囲魔法は使えません。(いや、普通に考えればの話ですけれどね)
最も効果的に使うとすれば、バトル・スタート早々、1ターンめの行動時になります。
スタート早々、まだ分散していない敵ユニット群をドラグスレイブで一掃する。
(これが、実に快感だったりする。笑)
その後、取り逃がした相手とのバトルに移行。(ここからが普通の感覚のバトルです)
これが、ゲームの基本戦略になります。
もちろん、最初に一掃されるためのザコ敵が必要以上にかたまって用意された戦闘マップになっているわけですね。
サービス精神満載です。
こちらが「スレイヤーズ ろいやる」型のやり方。笑

いやはや、よく考えてあります。
きっとメーカー側に相当の原作ファンがいらっしゃったのではないでしょうか?

なにしろ「ろいやる 2」の取り扱い説明書には、すんごいことが書いてあります。

「魔法を使おうとして、味方が近すぎて巻き添え食らっちゃう・・・という時があるわよね。そんなささいなことにびびってはダメよ!呪文一発で敵を全滅できるなら、尊い犠牲になってもらうのは当然!どうせ戦闘で行動不能になっても次の戦闘にはバッチリ元気になってるはずよ。だから味方がジャマな場所にいようと呪文で一掃しちゃいなさい!」

書くか?こんなこと?!(大笑)
説明したい点は青字の内容のはずなんですが、こう書かれてしまうと、ついつい
「んじゃ、やったろかい」
という気分になります。
はい、これこそが、原作の世界なんですね。
取り説の「のり」は正しい。

実は・・・私、何回か味方をふっとばしました。ゴメンなさい。

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