シャドウの謎


息子たちが小学生だったころ、スーパーファミコン・ソフトFFVIをプレイしている時のこぼれ話として、もう1つ忘れられない失敗談があります。

たいていの場合、失敗談というと、私自身がヘマをやった話なのですが、FFVIに関しては、ネタの提供者は、まわりにいた少年たちということになります。

(なにしろ、すでに、FF1から、シリーズとは長いつきあいになっておりましたので、メーカーさんが考える物語の傾向というものが、わかりだしていたんですね。ですから、ある程度、裏が読めるようになってきていた私は、とんでもないひっかけには、はまらなくなっていたわけです。そのわりには、後のシリーズになっても、罠でもなんでもない部分で勝手に迷子になってみたり、けして大きなことは言えない進歩なしのプレイヤーだったりするのですが・・・)

その「失敗談」、FFVIパーティの異色メンバー、アサシンのシャドウの話です。


例によって本文と関係のない写真



死者の世界に魂を運ぶ「魔列車」から、ようやく降ろしてもらった
カイエンとマッシュ。しかし、そこで彼らが見たものは・・・
いかに戦争とはいえ、卑劣な手段で命を落とすことになった
カイエンの愛妻と愛息子が、永遠の旅立ちをするシーンだった・・・

初めてこのシーンを見たとき、マジで涙がこぼれたものです。

マッシュが途中でやとったシャドウを、魔列車まで連れてくることは
バトルのやり方しだいで可能なのですが、今回はぎりぎり直前で逃げられて
2人だけの写真になってしまいました。




ある日、世界崩壊後のイベントをプレイしている最中に、普通より少々早めに息子と、その友人たちが帰宅しました。
勝手知ったる「私の家」、少年たちは、ゲーム機がある部屋に直行し、1人がTV画面を見て大声をだしました。

「あれっ?!
 これって、世界崩壊後だよね。
 なんで、シャドウがパーティにいるの?」

いや、なんでって・・・・・・・竜の首コロシアムとかで「いちげきのやいば」を賭けると、必ず最初はイベント・バトルになって、シャドウが登場するから、彼に勝利して仲間にしたわけですよ。

ところが、どうやら、彼のソフトには、そういうイベントが存在していないらしい。
おやぁ・・・・・?

世界崩壊後に、もう1度空を飛べるようになってから、獣が原に行くと、洞窟の奥にケガをしたシャドウがたおれているよね?
そこで出現するボス(キングベヒーモス)に勝利して、シャドウを救出し、村に連れて行くんだけれど、なぜか、村から逃げ出されて、竜の首コロシアムに行くシナリオになっているんだよ。

「違うよ。あの洞窟にたおれているのは、リルムちゃんだよ。」

えっ?!




思いもしなかった展開に、びっくりして、さかのぼって話を聞いてみましたところ、どうやら、原因は世界崩壊直前の魔大陸にあったようです。



とんでもない魔力の存在によって、超上空に浮かび上がった「魔大陸」と呼ばれる場所を攻略すると、その最後の場面で、暴走を始めた魔力から、なんとか時間かせぎして、主人公たちを離脱させようとするシャドウが活躍するシーンがあるのです。
この時、パーティメンバーは一部が固定(注)されていますが、自由選択できるメンバーの中に、アサシン・シャドウの実の娘が入っている可能性が0ではないんです。

作品の中で、シャドウは最後まで娘(リルム)に、自分の正体をうちあけることはしませんでしたが、この場面で、彼が何の義理も恩もないはずの主人公たちを命がけで離脱させようとする意味は、他にありません。
彼は、もしかしたらパーティに入っている娘本人、そうでなければ、娘と行動をともにしている主人公たちを、今後の娘のために救いたい一心だったと思われます。

「この先に、飛空艇が待っている。
 先に行け。オレは、必ず後から追いつく。」

シャドウのセリフを背に、主人公たちの必死の脱出が始まります。
時間制限のある中での敵中突破。

刻一刻、崩壊していく「魔大陸」の東端まで到着すると、はるか下に飛空艇が待っています。
画面に、

「飛空艇がいます。
 飛び降りますか?」

      はい   いいえ

という選択肢がでます。

ここが肝心な場所だったんですね。
カウント・ダウンの数字がどんどん減っているわけです。

当然、小学生の少年は、「はい」を選択したのでしょう。

とっても自然な選択ですよ。
でも、ここで「はい」を選択すると、以後のシナリオにシャドウは登場することがなくなってしまうのです。



そう、この場面で選択するのは、「いいえ」でなければならなかったのです。

理由は、まだ、追いつくはずのシャドウが到着していなかったからです。

そして、もう1度、魔大陸の東端で選択肢を表示します。

「飛び降りますか?」

もちろん、飛び降りることもできます。
でも、ここで、選択肢の「いいえ」の代わりに

「シャドウが気になる」

というものが明示されるわけです。
これで、わかっちゃうわけですね。
飛び降りずに、この選択肢を選んで、そのまま、待たなければいけないんです。

そうは言っても、カウント・ダウンの中で、待っているのって、ものすごく不安なんですよ。
私自身、これは絶対、待たなければいけない・・・と頭ではわかっているものの、はらはらドキドキの極致でした。
残る時間は、あと10秒!

9・8・7・・・

もう、待てません。
でも、ここまで待った場合、宣言どおり、みごとシャドウはパーティに追いついて、自動的に飛空艇に脱出することになっているのです。

「まだ、賃金をもらっていないんでな。死ぬわけにはいかないんだよ。」

ほっとするのもつかの間、暴走した魔力は世界をひきさき、やっと、脱出したパーティ・メンバーも散り散りになって、物語の前半が終了することになっています。




今でこそ、攻略方法として有名になってしまった選択肢ですが、当時、物語後半で、パーティにシャドウが存在しないプレイヤーさんは、少なくありませんでした。

私のプレイ画面を見ちゃったせいで「失敗談」を知られてしまうことになった少年は、しばらくの間、友人たちから
「待たなきゃだめだろ、あの場面なら!」
・・・・・と、笑いのネタにされていたみたいですが、ちゃんと理路整然と理由を考えて、あの魔大陸の東端でシャドウを待ったプレイヤーさんは・・・・・あまり、いなかったんじゃないかと思います。

私だって、ゲームだから待てたわけでね・・・・・・タイム・オーバーで全滅したところで、セーブした場所からやりなおせばいいだけでしょ?
現実の世界で、同じ立場になったら、きっと、後先考えずに、さっさと脱出していただろうと思います。


魔大陸で、シャドウを待たずに脱出してしまった場合、以後のイベントに若干の変更が発生して、本来、シャドウがたおれている場所には、リルムちゃんがいることになっていたようです。






FFVIの主人公とも言えるトレジャー・ハンターのロック
どうも、FFシリーズの男性側の主人公というのは、言動に天然ボケが必須になっているらしい

好意をもっている女性相手に、こんな、言ってはならないセリフを堂々と・・・苦笑





ところで、今回、GBAに移植されたことにより、FFVIには、エンディングの後でも楽しめる追加ダンジョンが加わることになりました。
というか、出現する魔物の強さを考えると、エンディングを見る実力がない限り、攻略できそうにないハードなダンジョンなんですけれどね。

ここで、問題が1つ発生するわけです。

エンディング・シーンのネタばれになりますので、まだ、攻略が終了していない方は、読まないほうがいいかもしれないのですが・・・・・・




最後の戦いに勝利した後、主人公たちは、崩壊する「瓦礫の塔」からの脱出を試みます。
(これは、エンディング・イベントなので、プレイヤーは完全に見ているだけになります。)

この中で、唯一、シャドウだけが、「瓦礫の塔」からの脱出をこばむことになっているんですよ。
彼は、かつてコンビを組み、先に死亡した仲間の元にいくため、崩壊する塔の内部に残ることを選択するのです。
このため、「瓦礫の塔」から舞い上がる飛空艇にシャドウの姿はありません。

でも・・・・・・・・

それって、困るじゃんねぇ。

SFCや、PS版の場合は、エンディングを見て終了だったからいいのですが、GBA版の場合は、その後にハードな追加ダンジョンがあるわけです。
(エンディング後のセーブが可能になっております。)

あそこで、シャドウに「瓦礫の塔」に残ってしまわれると、追加ダンジョンの攻略で、彼を使うことができなくなっちゃうわけですよ。笑

これは、まずいです。




どうなるんだろう・・・・・・・・

すでに、エンディングを見たことがある私(そして、今回プレイしていませんが、FFVIファンの娘)にとって、この点がどうなるのか、とても問題だったんです。


エンディング・シーンだけ、作りなおしがしてあるんだろうか?

さすがに、それはありませんでした。
「瓦礫の塔」に残るシャドウの姿というのは、彼の物語の結末として、はずせないものだったのでしょう。
(FFVIの世界では、各々のパーティ・メンバーの物語がたいへんに丁寧に描かれています。)

でも、脱出してもらわないと、私が困るんでね・・・・・




どうなっていたか・・・というと、エンディングは変更されていませんでしたが、シナリオ・クリアの後、さらにセーブして続きをプレイすると、飛空艇の中にちゃんとシャドウも乗っている・・・という、あっけらかんの続きになっていたわけです。

たぶん、うっかりすると、シャドウ本人より攻撃力があるんじゃないか?・・・という、彼の愛犬「インターセプター」が、塔に残ろうとする御主人様を無理やり背中にでも乗っけて、飛空艇に連れていったんじゃないかと思ったりしているところです。



というわけで、エンディング・シーンにかかわらず、ハードな追加ダンジョン、ちゃんとシャドウを参加させてプレイできますので、気になっているプレイヤーさん、ご安心くださいませ。


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注:魔大陸の攻略は、メンバー選択3名限定です。
これは、魔大陸に行ってから、すぐシャドウが4人目のメンバーとして強制参加するシナリオになっているための設定です。
そして、ここのボスである「アルテマウェポン」とのバトルが終了すると、自動的にシャドウがパーティからぬけることになっています。
この直後、かけつけたセリスがパーティに入ります。(最初に彼女を3名に入れておくと、魔大陸脱出イベントは3名できりぬけることになってしまいます。)



シャドウ
愛犬インターセプターを連れた、アサシン。
お金でやとわれる謎多き一匹オオカミ。
本名、年齢不詳(実は、彼の夢の中で、登場したりする)
シャドウというのは、かつて仲間と2人で作ったグループ名であり、リルムの父親のはず。亡くなった奥さんの愛犬だったのが、インターセプター。
リルムは、この事実を知らないはずだが、祖父ストラゴスは、すべてを知りながら沈黙を守ったことになる。
彼の過去に、どんなことがあったのかは、世界崩壊後、彼をパーティに入れて、あちこちの町の宿屋に宿泊すると、彼が「悪夢」を見るという形で断片的に紹介されることになっている。
物語前半では、ギル(お金)さえ払えばパーティ・メンバーに加わってくれることになっているが、実際は、死に場所をもとめる旅だったと想像される。
したがって、ラストバトルの直前に、ケフカから問われる「なんのために生きるのか?」というFFVI最大のテーマとも言える質問に、彼だけは答えるすべがなかったことになる。
(イベント上では、この時、シャドウは「友と・・・家族と・・・」という答えを返している。)

崩壊する「瓦礫の塔」からの脱出をこばむのは、ケフカへの「答え」を見つけられなかったからなのか、それとも、見つけてしまったからなのか、最後の謎は解かれることなく終わってしまう。
「魔大陸」からは、金にかこつけて脱出してくれた彼が、最後に見出した結論は、いったい何だったんだろう?



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