ぼつネタの話(1)

ゲームの開発中には、実にいろいろのシナリオ、アイデア、アイテム類の話が登場しているはずですが、完成した製品にはまったく影も形も残らなかった・・・という「ボツ」ネタがいっぱいあります。
「ボツ」になったネタについては、開発者からいちいち報告があるはずもなく、普通にプレイしている人は、何も知らないままでスルーしてしまうのがあたりまえのことになります。

まぁ、たま〜に、攻略本などに掲載される開発者インタビューのなかで話題になったりするので、ほほぉっ・・・と感心したり、噴出したり、まれには疑問が解決することもあります。


最近の話だと、ぼつネタ公表で「疑問が解決」した例としては、ファイナルファンタジーXの「ネスラグ」が有名でしょう。


ナギ平原にある「モンスター訓練場」から頼まれた魔物の捕獲をこなすと、捕獲状況に応じて訓練場のオヤジさん(この人、後のFFX−2、聖ベベル廟最深部でパーティを待ち受けるゲーム最強の敵:トレマ氏だったりするのですが・・・)が、野外では絶対に戦うことができない訓練場オリジナルの魔物を創作することになっています。
これが、メチャクチャな強敵ぞろいなのですが、挑戦して勝利できるとレアな「落し物」を入手できたり、たいへんに美味しい相手でもあるわけです。
(勝てるようになったら・・・という話ですがね)
オリジナルと言っても、原型は物語が進行するスピラという世界のどこかに野生の魔物として出現するものをベースにしていて、プレイヤーには、全部見覚えがある姿かたちであるはずなのです。
このゲームで「最強」とされている「すべてを超えし者」(悪いが、シナリオ上の最後の敵なんか目じゃないほど強かったりする。笑)ですら、アルテマウェポン(主人公の七曜の武器じゃなくて魔物の方ね)やオメガウェポンの親類スジみたいな形態をしています。
ところが1つだけ「謎」の魔物がいたりする。
それは「ネスラグ」という名前で、即想像できちゃいそうな「デンデンムシ」みたいな魔物です。
こいつだけが、どこをさがしても「原型」を見つけだせないのです。
このゲームには、シナリオの攻略上、行かなくてもOKな「隠された場所」というものがいくつかあります。
見覚えのない魔物」「隠された場所の存在」この2つがあると、プレイヤーは、
「もしかしたら、まだ、私が見つけていない隠しダンジョンとかが、どこかにあるんじゃないか?」
と考えちゃうわけですよね。
探しましたよ〜。さんざん探しまくったけれど見つからない。
あたりまえの話で、そういう場所は、もう残っていなかったんです。
野生の「デンデンムシ」魔物は1体もいなかったのです。
じゃぁ、「ネスラグ」って、なんなのサ?!
ずっと、気になっていたわけです。
これが解決したのが開発者インタビューですね。

なんでも、開発の途中まであったイベントの1つが地域とか魔物とか一切合財含めてボツになったのだそうです。
「デンデンムシ」魔物は、そこで登場するはずだったのですが、ボツをくらって、完成品のスピラの世界からは消えてしまったのです。
このために、訓練場の中にだけ「見覚えのない」形態の魔物「ネスラグ」が出現するはめになったわけです。

なるほど〜!!でした。
この記事を読んだ時、気になっていた疑問が解決して、とってもうれしかったです。



「ぼつネタ」というものが、いっぱいあるだろうということは想像できても、具体的に何がどうボツになったのかはプレイヤーにはわかりませんので、開発者の「話」を読んだり聞いたりするのって、楽しいですね。



ボツになったネタは、普通に考えれば開発者の記憶に残るだけで、製品のゲーム中には残っていません。
しかし、時として後日それがプレイヤーの間で有名になることもあります。


たとえば、ファミコン時代にゲームを楽しんだ年代の人は「死のオルゴール」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これ、ドラゴンクエスト2に登場する、登場しないアイテムなのです。

え〜、入力ミスではありません。

ゲームを最初から最後までプレイしても、「死のオルゴール」というアイテムは出てきません。そういうアイテムは、ゲームに存在していないのです。
しかし、ゲームのデータの中には「死のオルゴール」というアイテムの名前があるんですね。
(私には、ゲーム・データの中身をかきまわす力はないので、そういう方面に詳しい人の談話を読んだという話なのですが)
これ、開発途中でボツになったアイテムだったわけです。
ボツになったのなら、消しておけばいいじゃないか・・・と考えるのですが、データによっては、「全部消してしまおう」とすると、かえって他の部分に問題がおきてしまう可能性がでる場合もあるのだそうです。そういう場合には、プレイしてもゲームに出てこない状態にしておいて、データの中には「残してしまう」こともあるそうです。

ドラクエにかぎりません。
おそらく、いろんなゲームソフトのデータを調べまくったら、プレイしていても登場しない「アイテム名」や、なにであったのかもわからないような「名前」がいっぱい出てくるのではないでしょうか?

(ちなみに、「死のオルゴール」というアイテムは、どういうアイテムであったのか・・・というと、バトル中に使うと、全体にザキの効果を発動するアイテムであったらしいです。高い確率で即死効果を出すわけですね。もちろん、設定上、ザキを無効化する魔物もいます。しかし、これは、怖いです。何がこわいって・・・効果範囲が「全体」なんですよ。「敵」だけじゃないんです。「味方」もひっくるめて即死魔法が発動するわけです。ザキを無効化するアイテムがないわけじゃありませんが、それそのものがレア・アイテムです。ということは、冗談じゃないんですよ。怪我じゃすみません。ゲームオーバー紙一重という、とんでもねぇアイテムってことです。使えませんよねぇ。だからボツになったんじゃないのかなぁ。笑)


瓢箪からコマ・・・というボツの話もあります。
ポケットモンスターに登場するミュウ、これも本来は登場しないはずのポケモンだったのです。

ポケモン・ゲームの旧赤・緑をプレイした人ならご存知のはずですが、ミュウという名前のポケモンは物語の中には「ミュウツー誕生」に関する書類の中に文字としてだけ登場するものだったのです。
(ファイアレッド・リーフグリーンでも、この書類の文字は読めます)
ゲームをプレイしても、ミュウをゲットすることは不可能です。
どこにも出現しませんから。

ところが、開発の段階では、ゲームに出す予定はなくても、このミュウについていろんな設定がなされていたのでしょうね。
そして、スタッフのお遊び心だったのか、製品のデータの中に「ミュウ」に関するデータが削除されないまま残った状態になっていた。
発売後、普通ならばやらないような作業をする(裏技というやつです)と、この「どこにも出現しない、見知らぬポケモンを出すことができる」という話がわきあがります。

「あのポケモンは何ですか?」
「151番目のポケモンなのですか?」
質問が殺到したわけです。

この事態に、PRをかねて、ポケモンを大きく取り扱っている雑誌から「ミュウ愛読者プレゼント」が行われることになったのです。応募はがきを送ると抽選で数名にミュウのデータがあたる・・・というものです。
これが、とんでもない結果をもたらしました。
数名だったはずのところに、応募がドバァ〜ッと集まったのです。
裏技」で無理やり作りだすしかなかった「」のポケモンが「公式」にもらえるかもしれない!
人気急上昇中のゲームに応募が殺到しないはずがなかったのです。

かくて、メーカー側にもその人気の程を知らしめた「ミュウ」は、後日特別の配布ポケモンとして公式にイベント配布が繰り返されたり、後続シリーズに用意されるようになった「特別配布で入手しなければならないポケモン」の元祖みたいな存在になったわけなのです。

もともとゲームに登場しないはずだった「もの」が大手を振って人気者になってしまう・・・ミュウは、現実の世界の話としてもきわめて「珍しい」存在だったのかもしれません。

「すべては、ミュウから始まった」
という、ミュウとルカリオの映画版ポケモン・ムービーのキャッチ・コピーを最初に聞いたとき、私は「ボツ」の話かしら?とニヤニヤ考えたりしたものです。

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